補助金は「取れたら使う」ではなく「使い道から逆算する」
「補助金、取れたら何かに使おう」で始めると、たいてい疲れます
「いい補助金があるらしいから、うちも申請してみようか」。そんな話から動き出すことは、よくあります。もちろん、補助金を活用しようとする姿勢そのものは、とても前向きで良いことです。
ただ、「まず補助金ありき」で始めると、途中でしんどくなりやすいのも事実です。申請には、事業計画を書いたり、見積を集めたり、それなりの手間がかかります。それだけ苦労して採択されても、「さて、これを何に使おう」と後から考え始めると、本当は必要でなかったものを買ってしまったり、書類のために計画を無理やりひねり出したりと、ちぐはぐなことになりがちです。
補助金は、あくまで「やりたいことを後押しする道具」です。順番を逆にする、つまり「使い道から逆算する」だけで、ずいぶん楽に、そして役に立つ形で活用できます。
まず「今、一番困っていること」を1つ決める
逆算の出発点は、補助金の種類ではなく、自社の困りごとです。「今、一番なんとかしたいことは何か」を、まず1つはっきりさせます。
たとえば製造業なら「古い機械が止まりがちで、修理のたびに生産が遅れる」。建設業なら「事務作業が社長に集中していて、現場に出る時間が削られる」。飲食業なら「仕込みに人手がかかりすぎて、新しいメニューに手が回らない」。IT業なら「受注管理が手作業で、ミスと残業が減らない」。こうした「一番の困りごと」が決まると、必要な投資の中身も自然と見えてきます。
明日できるのは、紙に「今、一番困っていること」を3つ書き出して、その中から1つに丸をつけることです。補助金探しは、そのあとで十分間に合います。
「その困りごとを解決するのに、いくら必要か」を先に出す
困りごとが決まったら、次は「それを解決するには、何にいくらかかるか」を先に見積もります。機械なのか、システムなのか、人の手を借りることなのか。ざっくりで構わないので、必要な金額を出してみます。
ここまでできて初めて、「その投資に合う補助金はないか」を探す段階になります。この順番だと、探す軸がはっきりしているので、たくさんある補助金の中から自社に合うものを見つけやすくなります。逆に、先に補助金を見つけてしまうと、「この補助金に合うように、何か買うことはないか」と本末転倒になりがちなのです。
補助金には、それぞれ「何に使えるか」という決まりがあります。やりたいことが先に決まっていれば、「この補助金は使える・使えない」の判断もすぐにつきます。
「補助金が取れなくてもやるか」で本気度を確かめる
もう一つ、逆算のときに効く問いかけがあります。それは「もし補助金が取れなかったとしても、これはやるだろうか」という問いです。
この問いに「それでもやる」と答えられるものなら、それは本当に必要な投資です。補助金は、その背中を軽く押してくれるおまけと考えられます。逆に「補助金がないならやらない」というものは、そもそも今やるべきことではないのかもしれません。この一問を自分に投げかけるだけで、補助金に振り回されずに済みます。
まとめ:今日は「一番の困りごと」を1つに絞ってみる
補助金を上手に使うコツは、探し始める前の順番にあります。今日やるのは、「今、一番困っていること」を書き出して1つに絞ること。そこから「解決にいくら必要か」を出し、最後に「それに合う補助金」を探す。この逆算の順番にするだけで、補助金は振り回される相手ではなく、頼れる後押しになります。
五月雨では、こうした中小企業の業務改善やDXのお手伝いをしています。「困りごとの整理」から「使い道に合った活用の道すじ」まで、一緒に考える相談相手としてお役に立てればと思っています。
