質問がうまい人が強い理由(現場の対話編)2/6話
PM(プロジェクトマネージャー)・若手マネジャーの皆さん。こんなことありませんか?
分析ツールの進化で、「データを集計する」のは簡単になりました。Tableau、Power BI、Looker…ツールを使えば誰でも集計できる。
なのに、成果の差は広がっている。その差は、「何を聞くか」にある。
工事会社の現場で見たこと
工事会社の経営改善に関わった時のこと。
現場のリーダーさんが、工事原価を分析していました。
「資材費が前月比120%に上がった」
これだけ見ると、「資材が値上がりしたんだな」って結論になります。
お弁当屋さんの例と同じように、ここでも数字の表面だけを見ていては真実に辿り着きません。ここからが大事。
「で、なぜ120%に上がったんですか?」
「あ、〇〇という部材の使用量が増えたんです」
「なぜ増えた?」
「設計が変わった…」
「なぜ設計が変わった?」
「実は、前の工事で、この部材の薄さが原因でクレームが出たんです」
つまり、「資材費が上がった」という表面の数字の背後に、「品質改善」という事実があった。
ここまで「なぜ?」を聞かないと、営業は「原価を下げろ」という指示を出すところです。そしたら品質がまた落ちる。

データ分析の時代は、「質問力」の時代
ホワイトカラーの分析なら、ある程度パターン化できます。
「売上が下がった → 商品別で見る → このカテゴリが下げてる → 顧客別で見る → この顧客が減ってる」
しかし、ブルーカラー(現場)の世界は未知の世界。
工事会社なら、「なぜこの工事の原価が高い」という理由は、設計、施工方法、資材調達、現場の判断…複雑に絡み合っている。
だから、「何を比較するのか」「なぜそれが大事なのか」を聞く力が、現場のリーダーには必須なのです。
ZEN問答で鍛えられた「問い」
DATA Saberではダッシュボード作成の前に、「ZEN問答」というワークがあります。これは単なる技術の研修ではなく、「対話によって人を動かす」ための徹底的な訓練です。
相手が「売上が下がった」と言ったら、「なぜ?」「それで何が困ってるの?」「本当の課題は?」…相手の言葉の奥を掘る。
最初は、相手の答えが単語レベル。「下がった」「つらい」…曖昧。
しかし、質問を重ねていくと、本当の困りごとが浮かぶ。
「実は、A部門の〇〇さんが休職したから、新規営業が止まってる」
ここまで聞けば、対策が見える。
一般化してみると
営業なら、顧客の「困ってること」を聞ける人が、ソリューション営業になる。
経営なら、現場の「本当の課題」を聞ける人が、指示を出せる。
AI時代、ツールでできることはどんどん増える。集計も、グラフ作成も、予測も。
でも、「何を問うか」は人間にしかできない。そして、質問がうまい人が、データを活かすせる人になる。
締め
分析ツールの強さは、「聞く力」があってこそ。
データはあくまで、仮説を検証するための手段。その仮説を作るのは、質問。
「その数字、本当に大事?」「本当の課題は?」…こう聞ける人が、組織を動かすのです。
【次回予告】 優れた質問によって引き出した「現場の真実」。次はいよいよ、それをグラフにして周囲へ伝えるステップです。しかし、せっかく見つけた真実も、見せ方を間違えれば誰にも伝わりません。次回、良かれと思って作ったグラフが経営層に刺さらない理由に迫ります。
