契約書の電子化はこう進める|印紙が不要になる理由と、見落とされがちな保存義務
契約書の電子化を進めたいけれど、何から手をつければいいか分からない。印紙は本当に不要になるのか、法的に問題はないのか。そんな声をよく聞きます。
実は、契約書の電子化は「システムを入れること」から始まるわけではありません。今日は、小さな会社が現実的に進めるやり方をお話しします。
印紙代が、まるごと不要になります
電子化のいちばん分かりやすい効果はここです。電子契約には収入印紙が要りません。
印紙税は「紙の文書」に対してかかる税金です。契約の内容が電子データとして残り、紙の文書が作られなければ、印紙税法でいう「文書」にあたらない。だから課税されない、という考え方です。2005年の国会でも、電子契約に印紙税を課さないことが答弁されています。
工事の請負契約書は、金額によっては1通あたり数千円から数万円の印紙が必要です。年に何十件も契約を結ぶ会社であれば、これだけでもまとまった金額になります。
五月雨ではこうしています
わたしたちのやり方は、拍子抜けするほど単純です。
紙の現物が届いたものは、基本的にスキャンして電子化する。最初からデータで届いたものは、そのままデータで保管する。
これだけです。専用のシステムを入れているわけでもありません。届いた形に応じて、電子で持つか、電子に直すか。それを決めているだけです。
電子化というと大がかりな話に聞こえますが、実際にやっていることはこの程度でも回ります。まずは「紙で持ち続けない」と決めるところからで十分だと思います。
いちばん見落とされているのは「保存の義務」のほうです
ここが本題かもしれません。
2024年1月から、電子取引でやりとりした書類は、データのまま保存することが義務化されています(電子帳簿保存法)。猶予期間はすでに終わっています。
具体的にはこういうケースです。
- 取引先からPDFの請求書がメールで届いた
- 注文書をExcelファイルで送った・受け取った
- クラウド上で契約を交わした
これらは紙に印刷してファイルに綴じるだけでは、保存したことになりません。 データのまま残しておく必要があります。
「電子化はまだ先でいい」と思っている会社でも、メールでPDFを受け取っているなら、すでに対象になっています。ここは知らないうちに漏れやすいところです。
電子化を進めるときの注意点
相手のあることなので、こちらだけでは決められない
契約は相手があってのものです。元請けが紙の契約書を求めてくる場合、こちらの都合だけで電子にはできません。まずは自社が受け取る側・保管する側でできることから整えるほうが現実的です。
手書きで修正を加えたものは扱いが変わる
電子で作った書類でも、印刷して手書きで修正を入れた場合は、そのままデータ保存というわけにいきません。要件を満たしたスキャナ保存か、紙の原本の保存が必要になります。修正は極力データ上で行うようにしたほうが、後の管理が楽です。
「探せない保存」は保存していないのと同じ
データで持っていても、どこにあるか分からなければ意味がありません。税務調査で求められたときに提示できる状態にしておく必要があります。フォルダの分け方とファイル名のつけ方だけは、最初に決めておくことをおすすめします。
今日からできる、小さな一歩
まずは、いま手元にある契約書を「紙で届いたもの」と「データで届いたもの」に分けてみてください。
データで届いたものが1通でもあれば、その保管方法が今のままでいいかを確認する。それだけで、電子化の入り口としては十分です。全部を一度に変える必要はありません。
なお、印紙税や電子帳簿保存法の具体的な取り扱いは個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は、税理士や国税庁の公式情報でご確認ください。
五月雨では、こうした書類まわりの手間を減らす仕組みづくりを一緒に考えるお手伝いをしています。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも構いませんので、気軽に相談してくださいね。
