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日常

2025/11/03

研究の功績と責任:オーサーシップの「やってはいけない」こと

学術論文を読むとき、(そうそう読まない)
著者の名前が一人、あるいは複数並んでいるのを目にします。

この著者リストに名前を載せる資格、
すなわち「オーサーシップ(著者資格)」は、
研究の世界で非常に重要かつ厳格なルールに基づいています。

前にも、ギフトオーサーシップの記事を書きました。

オーサーシップは、
「誰がその研究の功績を受け、誰がその内容に責任を負うのか」
を明確にするための「身分証明書」のようなものです。

しかし、このルールを巡って、
残念ながら研究の信頼性を揺るがす不適切な行為(研究不正)
が起こってしまうことがあります。

今回は、このオーサーシップに関する基本的な考え方と、
特に避けるべき「やってはいけない」行為について解説します。


 

🧐 オーサーシップの「基本のキ」:4つの基準

 

国際的なガイドライン(ICMJEなど)では、
論文の著者に名前を連ねるには、
以下の4つの基準をすべて満たすことが求められています。

  1. 実質的な貢献:研究のアイデア、データ収集、分析、解釈といった核心的な作業に積極的に参加したこと。
  2. 執筆と校閲:論文の原稿を書く、あるいは重要な知的内容を批判的にチェックしたこと。
  3. 最終承認:論文の最終的な内容に同意し、承認したこと。
  4. 説明責任:論文の内容に誤りや疑問が生じた際、研究全体について説明する責任を負うことに同意したこと。

この4つ全てを満たさなければ、「著者」とは認められません。


 

🚫 信頼を損なう「やってはいけない」オーサーシップ

 

著者資格がない人を勝手に加えたり、
逆に貢献した人をリストから外したりする行為は、
研究の公正性を歪める重大な不正行為と見なされます。

特に問題視される5つの類型を紹介します。

 

1. 👥 貢献していない人を入れる(水増し行為)

 

これは、資格のない人を著者リストに加える行為です。
研究の功績を不当に水増しすることにつながります。

不適切な行為 概要 問題点
ギフト・オーサーシップ (Gift Authorship) 研究への貢献はゼロだが、上司や教授だからという理由で著者に加えること。 「お土産」のように功績を渡す行為。
ゲスト・オーサーシップ (Guest Authorship) 論文の採択率を上げるため、著名だが貢献度が低い研究者を「お飾り」として加えること。 「ゲスト」のような権威付け。
フォージド・オーサーシップ (Forged Authorship) 貢献していない人を、本人の承諾なく勝手に著者リストに加えること。 「偽造」のように、無断で名前を利用する特に悪質なケース。

 

2. 👻 貢献した人を外す(隠蔽行為)

 

逆に、正当に著者資格があるにもかかわらず、名前を意図的に除外する行為です。

不適切な行為 概要 問題点
ゴースト・オーサーシップ (Ghost Authorship) 実質的に貢献し、著者資格を満たしている人を意図的に著者リストから外すこと。 「幽霊(ゴースト)」のように、本来の貢献者を隠す行為。
オーファン・オーサーシップ (Orphan Authorship) 貢献者の名前を意図的に除外する行為。 「孤児(オーファン)」のように、功績を認められない人を放置する行為。

 

✅ 著者に該当しない貢献はどうする?

 

実験の手伝い、データの入力、研究費の提供など、
論文作成に間接的に役立ったが、
上記の「4つの基準」をすべて満たさない貢献はどう扱われるべきでしょうか?

この場合、著者リストには入れず、論文の最後に設ける
「謝辞 (Acknowledgement)」のセクションで、
その方の名前と貢献内容を明記するのが
適切なルールです。


 

まとめ

 

オーサーシップは、単なる名前の羅列ではなく、
研究者の名誉研究に対する責任を示すものです。

研究活動の信頼を守るためにも、
著者資格の4つの基準を正しく理解し、
不適切なオーサーシップの誘惑に流されないことが、
すべての研究者に求められています。

あなたの周りの論文でも、これらの基準が守られているか、
ぜひチェックしてみてください。

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