契約書チェックをAIにやらせる|そのまま使えるプロンプト3つと、任せてはいけない範囲
契約書のチェックをAIにやらせる。最近そういう話をよく聞くようになりました。実際のところ、どこまで使えるのか。
先日、「この契約を結んでよいものか」というご相談をいただいたときに、AIに契約書を読ませてポイントを抜き出してもらいました。今日はそのときの感触と、そのまま使えるプロンプトをお伝えします。
契約書を渡されて、そのまま押印していませんか
取引先から契約書が送られてくる。ざっと目を通すけれど、専門的な言い回しが続いて、正直どこを見ればいいのか分からない。顧問弁護士がいるわけでもない。結局、これまでも問題なかったからと押印してしまう。
小さな会社では、よくあることだと思います。そして多くの場合、実際に問題は起きません。ただ、起きたときに効いてくるのが契約書です。
AIが得意なのは「ポイントの抜き出し」
実際に使ってみて感じたのは、AIは「どこを見るべきか」を示すのが得意だということです。
長い契約書の中から、自社にとって不利になりうる条項、期間や金額の定め、解約や損害賠償の条件といった要点を抜き出してくる。専門用語をかみ砕いて説明させることもできます。
全文を自分で読んで理解しようとすると時間もかかりますし、そもそも「どこが重要か」が分からないと読みようがありません。その最初の入り口をつくってくれるのがAIです。
そのまま使えるプロンプト3つ
1. 全体の要点を抜き出す
まずはこれです。契約書の本文を貼り付けて、こう指示します。
この契約書を読んで、以下を箇条書きで整理してください。
・契約の目的と対象
・契約期間と更新の条件
・金額と支払い条件
・解約するときの条件
・損害賠償や違約金の定め
専門用語は、わかりやすい言葉に置き換えて説明してください。
2. 自社に不利な部分を探す
立場をはっきり伝えるのがコツです。
わたしは受注する側(下請け)の立場です。この契約書の中で、受注側にとって不利になりうる条項、または注意が必要な条項を挙げてください。それぞれ、なぜ注意が必要かも説明してください。
3. 書かれていないことを探す
意外と効くのがこれです。トラブルは「書いてあること」より「書いていないこと」で起きます。
この契約書に書かれていない項目のうち、この種の契約で通常定めておいたほうがよいものがあれば挙げてください。
AIに任せてはいけない範囲
使ってみた実感として、抜き出しや整理については十分に使えます。ただ、任せてはいけない部分もはっきりしています。
最終的な判断
「この契約は結んでよいか」という判断そのものは、AIの答えをそのまま採用すべきではありません。AIは契約書の文面しか見ていませんが、実際の判断には、その取引先との関係、業界の慣行、自社の経営状況といった文脈が関わります。
業界特有の慣行
建設や工事の世界には、書面に表れない慣行があります。AIはそれを知りません。一般論として正しくても、その現場では現実的でない指摘が出ることもあります。
秘密保持の観点
取引先名や金額が入った契約書を、そのままAIに読ませてよいかは確認が必要です。入力した内容が学習に使われない設定になっているか、会社としてルールを決めておいたほうが安心です。
弁護士に相談する前の「下ごしらえ」として使う
いちばん相性がいいのは、この使い方だと思っています。
契約書をまるごと持ち込んで「見てください」と頼むより、「この3点が気になっているのですが」と絞って相談したほうが、話は早く進みます。AIに要点を出させておけば、その3点を自分で用意できます。
専門家に頼る場面をなくすのではなく、頼り方を変える。そういう使い方が現実的です。
今日からできる、小さな一歩
手元にある契約書を1通、上の「1. 全体の要点を抜き出す」に入れてみてください。5分もかかりません。
自分が何を見落としていたか、あるいは案外ちゃんと理解できていたか。どちらにしても、次に契約書を受け取ったときの見方が変わります。
なお、契約内容の法的な判断については弁護士など専門家にご相談ください。この記事は、その前段の整理の仕方をお伝えするものです。
五月雨では、AIを日々の仕事にどう組み込むかを、現場に合わせて一緒に考えるお手伝いをしています。「使ってみたいけれど何から試せばいいか分からない」という段階でも構いませんので、気軽に相談してくださいね。
