クレームを「二度と起きない改善」に変える聞き方
クレームの電話が鳴ると、胃が痛い
「お客様からお叱りを受けると、頭が真っ白になってしまう」。そんな声を、中小企業の社長さんや現場責任者の方からよく伺います。
クレームは、できれば来てほしくないもの。だから、つい「早く収めたい」「穏便に済ませたい」という気持ちが先に立ちます。謝って、その場をなんとか丸く収めて、ほっと一息。ところが、しばらくすると同じようなお叱りがまた別のお客様から届く。これが、いちばん困るパターンなんです。
実は、クレームは「対応の仕方」よりも「聞き方」で、その後が大きく変わります。今日は、目の前の一件を収めるだけでなく、「二度と起きない改善」につなげるための聞き方について、一緒に考えてみたいと思います。
「何が」ではなく「どういう場面で」を聞く
クレームを受けたとき、多くの人が「何が問題だったか」を聞きます。もちろん大事なのですが、それだけだと再発防止にはつながりにくいんです。
たとえば飲食店で「料理が冷めていた」というお叱りがあったとします。ここで「冷めていて申し訳ありません」で終わると、原因がわからないまま。そうではなく、「どのタイミングでお持ちしたときですか」「混み合っていた時間帯でしたか」と、どういう場面で起きたかを丁寧に聞いていくと、「金曜の夜のピーク時、提供が集中して料理が待たされていた」という具体的な状況が見えてきます。そこまでわかれば、盛り付けの順番を変える、といった手が打てます。
製造業でも同じです。「納品した部品に傷があった」という指摘に対して、「いつ、どの工程で、どんな時に起きやすいか」まで掘り下げると、「梱包時の擦れ」なのか「加工中の傷」なのかが分かれます。原因の場所が違えば、打つ手はまったく変わってきますよね。
聞くべきは、犯人探しではなく「場面」です。
相手を責める空気を作らない
もうひとつ大事なのが、社内で原因を確かめるときの聞き方です。
お客様からのお叱りを社内に持ち帰ったとき、つい「誰がやったんだ」という空気になりがちです。でも、これをやると現場は口を閉ざします。次からミスを隠すようになり、かえって同じことが繰り返されてしまう。
「誰が」ではなく「どうすれば起きなかったか」を全員で考える。この一言の違いが、驚くほど大きな差になります。
たとえばIT系のサポートで、設定ミスによるお客様からのクレームがあったとき。担当者を責めるのではなく、「そもそもこの設定、間違えやすい作りになっていないか」とチェックリスト側を疑ってみる。すると「確認画面の項目名が紛らわしかった」といった、仕組みの問題が見えてくることがあります。人ではなく仕組みを直せば、次に別の人が担当しても同じミスは起きません。
「一件」を「みんなの学び」にする
クレーム対応でもったいないのは、対応した人の頭の中だけで完結してしまうことです。
せっかく原因と対策がわかっても、それが共有されなければ、別の部署や別の店舗で同じことが起きます。おすすめは、クレームがあったら「状況・原因・次からどうするか」を3行だけメモに残すという手です。長い報告書はいりません。3行なら続けられます。
建設業の会社さんで、現場でのちょっとしたクレームを、朝礼で1分だけ「先週こんなことがあって、こう変えました」と共有するようにした例があります。責める場ではなく学ぶ場にしたことで、現場からも「実はこういうヒヤリもあった」と声が上がるようになった、と話されていました。
今日の小さな一歩
次にお叱りを受けたら、謝ったあとに一言だけ、「差し支えなければ、どういう場面でそうなったか教えていただけますか」と聞いてみてください。責める質問ではなく、場面を知るための質問です。
その一言が、目の前の一件を「二度と起きない改善」に変えてくれます。
五月雨でも、現場で起きたことを責めずに学びに変える仕組みづくりのお手伝いをしています。もし興味があれば、気軽に覗いてみてください。
