【2026年改正案】製造・建設業界が知っておくべき個人情報保護法の変化と対策
個人情報保護法の「3年ごと見直し」に向けた改正議論が進んでいます。2025年に骨子が固まり、2026年以降の施行が見込まれているこの改正。
「うちはBtoB(法人向け)だから関係ない」「現場の安全管理がメインだから大丈夫」と思っていませんか?実は今回の改正、製造業のスマート工場化や、建設業の現場DX(カメラ活用や安全管理)に直結する内容が含まれています。
今回は、JPACの記事をベースに、製造・建設業の視点で外せない「3つのポイント」をわかりやすく解説します。
1. AI開発やデータ分析がやりやすくなる?「統計作成」のルール緩和
今回の改正案で注目なのが、「統計作成やAI開発」に限る場合、本人同意がなくてもデータの第三者提供などが一部可能になるという方針です。
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製造業での視点:
工場内の作業員の動きをセンサーや動画で分析し、生産性を高めるAIを開発したい場合。これまでは「個人特定」への配慮が非常に厳格でしたが、統計的な分析に限定する仕組みを整えれば、データ活用のハードルが下がります。
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建設業での視点:
複数の現場から集めた作業員の活動データを、協力会社間で共有して「事故防止モデル」を作る際などに、このルール緩和が適用される可能性があります。
【注意点】
あくまで「個人の権利を害さない」ことが条件です。「AIで個人の能力をランク付けして賃金に反映させる」といった使い方は緩和の対象外になる可能性が高いため、目的の明確化がより重要になります。
2. 「生体認証」や「防犯カメラ」のデータ管理が厳格に
製造・建設現場で導入が進む「顔認証による入退室管理」や「AIカメラによる安全監視」。これらは非常に便利な反面、今回の改正では「個人の権利利益を害するおそれ」がある行為への監視が強化されます。
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現場でのリスク:
ヘルメットの装着チェックや熱中症対策でカメラ映像を使う際、それを「いつの間にか人事評価に転用していた」「本人が知らないうちに外部の解析業者に渡していた」といった運用は、今後さらに厳しくチェックされます。
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対策:
現場の入り口に「カメラ作動中:目的は安全管理のため」と明示するだけでなく、取得したデータの保存期間や破棄のルールを再点検する必要があります。
3. 「こども」の個人情報への配慮(工場見学や近隣対策)
改正案では、子供の個人情報について、より慎重な取扱いを求める方向です。
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製造業での視点:
「工場見学」に来た小学生の名簿や、撮影した写真。これらをSNSや広報誌に載せる際、これまでは保護者の同意をなんとなく得ていたかもしれませんが、今後はより明確な手続き(15歳未満なら親権者の同意必須など)が求められます。
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建設業での視点:
近隣住民への説明会や、地域貢献イベントなどで子供の情報を扱う際、保管期間を短く設定するなどの「特別な配慮」をマニュアル化しておくべきです。
まとめ:製造・建設業の皆さんが今やるべきこと
今回の改正は、「データを正しく使って生産性を上げるのはOK。でも、監視や不透明な使い方はNG」というメッセージがより強まったものです。
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データの「出口」を確認: 現場で取っている写真、動画、ログデータが、当初の目的(安全や効率化)以外に使われていないか?
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委託先の再チェック: クラウドサービスや解析業者にデータを渡している場合、その契約書に「統計作成目的以外には使わない」などの文言が入っているか?
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プライバシーポリシーの更新準備: 2026年の法改正に合わせて、自社の規定をブラッシュアップする予算と時間を確保しておく。
「うちは現場仕事だから」という時代は終わり、今や現場こそが宝の山(データの宝庫)です。新しいルールを正しく理解して、信頼される「デジタル時代のモノづくり・街づくり」を進めていきましょう!
※本記事は、個人情報保護委員会の「3年ごと見直し」に係る議論の中間整理案等に基づいています。今後の国会提出や施行状況により内容が変わる可能性があるため、常に最新情報をご確認ください。
参考:https://blog.jpac-privacy.jp/proposedamendmentstothepersonalinformationprotectionact_2601/一般社団法人日本プライバシー認証機構(JPAC)
