機器据付でつまずくのは据える前|搬入経路と揚重の検討でやること
機器据付の施工要領や歩掛を調べていると、レベル出し、ライナー、グラウトといった話が中心に出てきます。もちろんどれも大事です。
ただ、実際に現場でつまずくのは、その手前です。そもそも、そこまで運び込めるのか。 今日はその話をします。
据付の難しさは「据えたあと」ではありません
据付の作業そのものは、条件さえ整っていれば手順どおりに進みます。難しいのは、機器を所定の位置まで持っていくところです。
大きくて重いものを、限られた空間に、傷つけずに入れる。ここで計画が甘いと、当日になって動けなくなります。
まず確認するのは、揚重できるかどうか
クレーンを置く場所があるか
意外と見落とされるのがこれです。吊れる能力のクレーンがあっても、置く場所がなければ意味がありません。
アウトリガーを張り出すスペース、進入経路の幅、旋回に必要な範囲。工場の敷地内は、思っているより余裕がないことが多い。図面上では入るように見えても、実際には既存の設備や配管が邪魔をします。
地面が耐えられるか
もうひとつが耐荷重です。クレーンの重量とアウトリガーにかかる荷重を、その場所の地面や床が受けられるか。ピットの上、地下構造物の上、舗装の薄い場所。ここを確認せずに据えると、沈む・割れるという事態になります。
吊り上げた先で干渉しないか
吊り上げること自体はできても、そこから所定の位置に入れる過程で、既存の配管やダクト、梁に当たることがあります。複雑な場所に入れ込むときほど、この干渉の確認が要ります。
吊った状態で「入らない」と分かるのがいちばん困ります。宙に浮いたまま、時間だけが過ぎていきます。
いちばん難しいのは、狭いところから重いものを出すとき
据付より厄介なのが、撤去や更新です。
特に、地下や低い位置から重量物を引き上げる場合。作業スペースは狭いのに、吊り上げる高さと角度を確保するために、かえって大きなクレーンが必要になることがあります。
「狭いから小さい機械で」とはいきません。体勢の問題で、大きな機械でないと届かない。ところがその大きな機械を置く場所がない。この矛盾を、どう解くかが計画の勘所になります。
解けない場合は、分割して出す、別の開口から出す、建屋側に手を入れるといった判断が必要になります。いずれも、当日に決められることではありません。
据えたあとの作業
運び込めてしまえば、あとは手順どおりです。
- アンカー:位置出しを正確に。テンプレートを使うと精度が出ます
- ライナー:レベル調整用。入れる位置と枚数を記録しておくと、後の調整が楽です
- レベル出し:ここを妥協すると、運転時の振動や偏摩耗につながります
- グラウト:無収縮グラウトを使います。充填不足が最も多い失敗です。流し込む方向と、空気の逃げ道を考えておく必要があります
グラウトは、入れたつもりで隙間が残っていても、外からは見えません。あとから振動が出て初めて分かる、ということが起きます。
据付を外注するときに、伝えておきたい情報
見積の精度を上げるために、次の情報をあらかじめ伝えてください。
- 機器の寸法と重量
- 搬入経路(門から据付位置まで、通れる幅と高さ)
- クレーンを置ける場所があるか
- 据付位置の周囲に何があるか(既存配管・ダクト・梁)
- 設備を止められる期間
この5つがあるかないかで、見積の精度も、当日の段取りもまったく変わります。特に2と3は、写真を1枚送ってもらえるだけで判断できることが多いです。
今日からできる、小さな一歩
更新を考えている機器があるなら、その周りを写真に撮っておいてください。 正面だけでなく、上と横も。それから、そこまでの通路も。
相談する段階でこの写真があるだけで、話が一段階先から始められます。
五月雨では、機器の据付・撤去・更新を、配管や製缶とあわせてお引き受けしています。「これは入るのか」という段階のご相談でも構いませんので、気軽に声をかけてくださいね。
