不良を減らす前に、不良を「数える」ことから
「不良を減らせ」と言われても、困っていませんか
「不良品を減らそう」。工場でよく聞く号令です。もちろん、不良が減れば材料のムダも減り、手直しの手間も減り、お客さまの信頼にもつながります。減らしたいのは、現場の誰もが同じ気持ちでしょう。
けれど、いざ「減らせ」と言われると、現場は困ってしまうことがあります。どの不良を、どれくらい、どう減らせばいいのか。漠然と「気をつけよう」と声をかけても、次の日にはまた同じような不良が出る。「うちは前から不良が多いんだよな」と、なんとなくの感覚だけが残っている。そんな状態に心当たりのある社長さんも、いらっしゃるのではないでしょうか。
実は、不良を減らすために最初にやるべきことは、「減らす努力」そのものではありません。まず「数える」ことなのです。
「なんとなく多い」では手が打てない
不良が減らない現場の多くに共通するのが、「不良の実態を、数字で把握できていない」という点です。「最近多い気がする」「あの工程が怪しい」——こうした感覚はとても大事ですが、感覚だけでは、どこに手を打てばいいのかが定まりません。
たとえば、一口に「不良」といっても、キズによるもの、寸法が合わないもの、部品の付け忘れ、汚れなど、種類はさまざまです。もし「キズ」が全体の大半を占めているなら、まず取り組むべきはキズ対策です。ところが数えていないと、たまたま目についた別の不良に気を取られて、労力が分散してしまう。結果、一番効く対策に手が回らない、ということが起きます。
数えることで初めて、「どの不良が、どこで、どれだけ出ているか」が見えてきます。手を打つべき場所がはっきりする。これが、数えることの本当の値打ちです。
まずは「正」の字を書くだけでいい
数えると聞くと、システムやソフトが必要だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。作業台の横に紙を一枚貼って、不良が出たら種類ごとに「正」の字を書いていく。これで十分に始められます。
項目は最初から細かくしなくて大丈夫です。「キズ」「寸法」「その他」の3つくらいから始めて、「その他」が増えてきたら分け方を見直せばいい。一日の終わりに集計して、「今日はキズが多かった」と分かるだけでも、大きな一歩です。一週間も続ければ、「うちの不良はキズが圧倒的に多い」といった傾向がはっきり見えてきます。そこまで来れば、対策する相手が定まります。
大事なのは、犯人探しの道具にしないことです。「誰が出したか」ではなく「どんな不良が、どこで出たか」を淡々と数える。数えることが責められる材料になると、現場は不良を隠すようになり、かえって実態が見えなくなってしまいます。
一番多い不良から、一つずつ
数えて傾向が見えたら、あとはシンプルです。一番多い不良から一つずつ、なぜ出るのかを現場で話し合う。「このキズはどの工程でついているんだろう」「運ぶときに当たっているのかもしれない」。数字という共通の土台があると、この話し合いが具体的になります。感覚の言い合いにならず、「じゃあ運搬の置き方を変えてみよう」といった具体策につながっていきます。
今日からできる小さな一歩
まずは紙を一枚、作業台の横に貼ってみてください。不良が出たら種類ごとに「正」の字を書く。それだけで構いません。一週間後、その紙が、あなたの工場のどこに一番の課題があるかを教えてくれます。減らすのは、それからでも遅くありません。
五月雨では、現場に負担をかけずに「まず数える」仕組みづくりのお手伝いもしています。もし進め方に迷ったら、気軽に相談していただけたらうれしいです。
