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業務改善

2026/07/27

退職者と一緒に消える技術を残す、図面・治具の属人化対策

「あの人が辞めたら、どうしよう」と思ったことはありませんか

長年、工場を支えてくれたベテランの職人さん。その人の頭の中には、図面には書かれていない段取りのコツ、この材料ならこう削る、この治具はこう使う、といった知恵が詰まっています。会社にとって、かけがえのない財産です。

けれど、その財産は形になっていないことが多い。だからこそ、「あの人が辞めたら、あの製品はもう作れないかもしれない」という不安が、経営者の頭のどこかにいつもある。そんな社長さんは、決して少なくないと思います。定年が近い、体調を崩した、家庭の事情で急に——退職はいつやってくるか分かりません。そのとき、技術も一緒に消えてしまうとしたら、これほど惜しいことはありません。

今日は、こうした「技術の属人化」に、身近なところから手を打つ方法を考えてみたいと思います。

図面に書かれていない「わかっている前提」を拾う

まず注目したいのが、図面です。図面には寸法や公差は書かれていますが、実際に作るためのノウハウは、たいてい書かれていません。「この面は最後に仕上げる」「この順番で組まないと入らない」「この材料はロットで硬さが違うから注意」——こうした「わかっている人には当たり前」の情報こそ、辞めると消えるものの正体です。

だからといって、ベテランの職人さんに「全部書き出してください」とお願いしても、なかなか進みません。本人にとっては当たり前すぎて、何を書けばいいか分からないからです。おすすめは、若手や別の担当者が実際に作業を見て、「なんでここでこうするんですか」と質問しながらメモを取ること。当たり前を疑う人が横にいると、暗黙知が言葉になって出てきます。その場をスマホで動画に撮っておくと、後から何度でも見返せます。

治具に「名前」と「使い方」を添える

もう一つの属人化のかたまりが、治具です。長年の工夫が詰まった手づくりの治具は、その工場の宝です。ところが、「これは何のための治具か」「どの製品のどの工程で使うか」が、作った本人の頭の中にしかない、ということがよくあります。棚にたくさん治具が並んでいるけれど、ベテランがいないと何がなんだか分からない、という現場も見かけます。

対策はシンプルです。治具一つひとつに、番号や名前をつけ、「どの製品の・どの工程で・どう使うか」を書いた小さな札を添えておく。写真を撮って、使い方を一言メモした一覧をつくっておくのもいいですね。こうしておけば、担当者が変わっても、治具の意味が失われずに引き継がれます。

「完璧なマニュアル」を目指さない

技術継承というと、分厚いマニュアルをつくらなければ、と気負ってしまいがちです。でも、立派なマニュアルは作るのも大変で、たいてい途中で挫折します。目指すべきは完璧さではなく、「思い出せるきっかけ」を残すことです。

写真、短い動画、手書きのメモ、治具に貼った札。断片でいいのです。次にその作業をする人が、ゼロから悩まずに「ああ、そういえばこうだった」と思い出せる。それだけで、技術は途切れずにつながっていきます。少しずつ、一つの製品、一つの工程から残していけば十分です。

今日からできる小さな一歩

まずは、一番「あの人しか作れない」製品を一つ選んで、その作業をベテランの職人さんにお願いし、隣で若手が動画を撮りながら質問する——これを一回やってみてください。30分の動画が一本あるだけで、技術が消えるリスクはぐっと下がります。全部を一度にではなく、一番大事な一つから。

五月雨では、現場の知恵を無理なく形に残す進め方を、一緒に考えるお手伝いをしています。「どこから手をつけるか」で迷ったら、気軽に声をかけてくださいね。

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