工場の定期点検、何をどの頻度でやればいいのか問題
壊れてから直す工場は意外と多い
「定期点検? うち、やってないですね」
こう言われることは珍しくありません。
中小企業の工場では、設備が壊れてから修理する「事後保全」スタイルが主流です。
忙しいし、壊れてないものにお金をかけるのはもったいない気がする。
その気持ちはわかります。
でも、点検していれば防げたトラブルは本当に多いです。
「点検してたら防げたのに」の事例
実際にあるのが、物が詰まっていたのにそのまま設備を動かしたケース。
配管や機械の中に異物が詰まっているのに、確認せずにスイッチを入れてしまう。
冬場だと、動物性油脂が配管の中で固まっているのに、バケットエレベーターを回そうとしたというケースもあります。
冷えて固まった油脂が詰まった状態で無理に動かせば、当然壊れます。
どちらも、始業前に中を確認していれば防げたトラブルです。
普段から掃除や点検が癖づいていれば、起きなかったことです。
意外に多いんです、始業前点検をしない工場。
偉い人は現場を見ない、現場の人は設備のことまでは知らない。
その間で設備だけが黙って劣化していく。
ちょっとかわいそうな話です。
最低限やるべき点検と頻度
「じゃあ何をどの頻度でやればいいの?」という疑問に、目安を示します。
毎日(始業前点検)
- 目視確認: 漏れ、異音、振動、異臭がないか
- 油量・水量チェック: タンクやリザーバの液面
- 清掃: 設備周辺のゴミ・粉塵の除去
毎月
- ベアリング・モーターの温度確認: 手で触って熱くないか
- ベルト・チェーンの張り具合: 緩みや摩耗がないか
- バルブの動作確認: 固着しかけていないか(月1回動かすだけで違います)
- フィルターの清掃・交換
半年〜年1回
- 配管の腐食・劣化チェック: 外観と保温材の状態
- 電気設備の絶縁抵抗測定
- ポンプ・コンプレッサーのオーバーホール検討
- スチームトラップの動作確認
- 安全弁・圧力計の校正
全部を完璧にやる必要はありません。
自分の工場にとって重要な設備から優先的にやれば十分です。
点検コストの考え方
「点検にいくらかかるの?」は気になるところです。
点検項目や工場の広さに比例しますが、ひとつの目安として「1歩5円」という考え方があります。
工場内を歩いて回って点検するわけですが、実際の点検作業中は移動以外であまり歩数がかからないので:
| 点検規模 | 歩数目安 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 小規模(部分点検) | 約1,000歩 | 約5,000円 |
| 中規模 | 約3,000歩 | 約15,000円 |
| 大規模(全場点検) | 約6,000歩 | 約30,000円 |
もちろん、点検項目の専門性や社会情勢によって変動しますが、ざっくりした目安としてイメージしやすいのではないでしょうか。
突発故障で緊急修理を頼むと数十万円かかることを考えれば、定期点検のコストは「保険」として非常にリーズナブルです。
「壊れてから修理」と「予防保全」のコスト比較
感覚的に「壊れてから直すほうが安い」と思われがちですが、トータルで見ると逆です。
壊れてから修理の場合:
- 緊急対応で割増料金
- 生産ライン停止による損失
- 壊れた部品だけでなく周辺も巻き添え
- 復旧まで数日〜数週間かかることも
予防保全の場合:
- 計画的に実施できるので通常料金
- 生産を止めるタイミング(GW・年末年始)に合わせられる
- 壊れる前なので部品交換だけで済む
- ダウンタイムを最小限に抑えられる
点検はカスタマイズしていい
「メーカーの推奨点検項目を全部やらないとダメ?」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
顧客ごとのニーズに合わせて、必要なところだけ点検するのが合理的です。
やらなくていいところまで点検して、
お支払いいただく費用を無駄にする必要はありません。
一般的なメーカー点検項目をベースにしつつ、工場の実情に合わせてカスタマイズする。
「うちの工場は蒸気配管が古いから、そこを重点的に」
「電気系は別の業者が見てるから、機械系だけお願い」
──こういうオーダーで全然OKです。
まとめ:最低限の点検で突発停止を減らせる
- 始業前点検の習慣だけで防げるトラブルは多い
- 月1回のバルブ操作で固着を防げる
- 年1回の全体点検で大きな故障を予防
- 点検はカスタマイズしていい(全部やる必要なし)
- 「壊れてから修理」はトータルで高くつく
点検項目がわからない場合は、一度現場を見せてもらえれば一緒に点検リストを作れます。「何から始めればいいかわからない」からでも大丈夫なので、五月雨まで気軽にご相談ください。
