工場のExcel管理、VBA職人が辞めたらどうするか問題
VBAを組めるのは1人だけ
工場の在庫管理、日報、工数計算……いろんなものがExcelで回っています。しかもただのExcelじゃなくて、VBA(マクロ)がガッツリ組まれたExcel。
作ったのは社内の「Excel詳しい人」。その人が辞めたら?
誰もメンテナンスできません。中身を開いても何が書いてあるかわからない。触ったら壊れそうで怖い。でもそのExcelがないと業務が回らない。──これがVBA属人化です。
建設業も製造業も構造は同じ
VBA属人化は、会社の規模によって起きやすさが違います。
建設業でも製造業でも、末端の小さい会社ほどVBA以前の問題だったりします。VBAどころか関数すら使えないという人もざらにいます。逆に、ある程度の人数を超えてくると「VBA使い」を採用できるようになる。
つまり、VBA属人化が問題になるのは「VBAを使える人が1人だけいる」中間サイズの会社です。ゼロならそもそも使っていないし、複数人いればお互いにメンテナンスできる。1人だけのときが一番危ない。
これはプラントエンジニアリングの属人化と似た構造です。特定の技術を持った人が1人だけいて、その人がいなくなると誰も対応できなくなる。
「全部クラウドに移行」は現実的じゃない
「VBAをやめてクラウドサービスに移行しましょう」──よく聞くアドバイスですが、そんなに簡単じゃありません。
長年使い込んだVBAには、その会社独自のルールや計算式が詰まっています。汎用のクラウドサービスでは対応できない部分が必ずあります。全部移行しようとすると、コストも時間も膨大になります。
現実的なのは、VBAを全廃するのではなく「段階的に整理する」アプローチです。
まずやるべきこと:VBAの棚卸し
ステップ1:何があるか把握する
社内のVBA付きExcelを全部リストアップします。誰が作ったか、何の業務で使っているか、どれくらいの頻度で使うか。
ステップ2:リスクの高いものを特定する
「これが壊れたら業務が止まる」というものから優先的に対策します。
ステップ3:文書化する
VBAの中身を全部理解する必要はありません。「このボタンを押すと何が起きるか」「どのセルに何を入れるか」──操作手順だけでも文書化しておくと、次の人が使えます。
「アナログを残しつつ部分的にデジタル化」の実例
DXの一番いい形は、今のやり方を全否定しないことです。実際にこんな事例がありました。
パソコンが使えないお弁当屋さん。手書きで受注して、配達まで行っている。朝9時台に200件分の注文電話が来るのですが、さばききれないのが悩みでした。
ここでやったのは、オペレーション自体は「手書き」を残すこと。お客さんは手書きだと安心するし、後工程のスタッフも慣れたやり方のほうが早い。
変えたのは電話の受付部分だけ。留守番電話で受けて、音声を文字起こしして紙で出力する仕組みにしました。出力する紙のレイアウトも手書きと同じ項目配置にして、後工程の仕分け作業に負担をかけないようにしました。
結果、字が大きくて見やすいという想定外の効果も出ました。お客さんからも「電話がかからなくて諦めるのがなくなった」と好評でした。
導入初週の1週間は、お弁当の盛り付けをしながらシステムトラブル対応に常駐しましたが、トラブルはゼロ。安心して任せられる状態になりました。
DXの第一歩は「モニターを1台増やす」
中小企業のDXで「ここだけは変えたほうがいい」と聞かれたら、こう答えます。
まず一人1台ずつモニターを増やしてください。
1台の人は2台に、2台の人は3台に。マルチディスプレイにするだけで、作業効率が目に見えて変わります。「あれ、こんなに違うの?」という体感が生まれます。
DXは変化に気づくことが大事です。変化に抵抗感を示す人も多いですが、実際に体験してみると「なんで今までこうしなかったんだろう」と思うものです。大きなシステム導入の前に、まずは小さな変化を実感するところから始めるのがおすすめです。
まとめ:VBA全廃は非現実的、段階的に整理する
- VBA属人化は「使える人が1人だけ」の会社で起きやすい
- 全部クラウドに移行するのは非現実的
- まずはVBAの棚卸しと操作手順の文書化
- アナログを残しつつ、ボトルネックだけデジタル化
- DXの第一歩はモニターを1台増やすこと
VBAの棚卸しや、クラウドへの段階的移行の相談も受けています。「全部変えろ」とは言いません。必要なところだけ、が方針です。五月雨まで気軽にご相談ください。
