採用の深層:人事の「勘」が暴く、HRtechとデータが無視する「人の本質」
10年間で、延べ6万件のキャリアシートに向き合い、
約600人の採用面接を行ってきました。
この数字は単なる経験値ではなく、
ワタシの「目の整合性」を証明する一種の対照実験のデータです。
ワタシは過去、
「不合格と判断した人材」を意図的に選考通過させるという
ポジティブ採用を実施し、その後の結果を追跡しました。
これにより、私の「勘」という名のアルゴリズムが、
少なくともビジネスにおいて一定の再現性を持っていることを
客観的に確認できています。
この経験から、
私は以下のような、データ偏重の時代においては逆説的とも取れる、
採用の本質について確固たる結論を持っています。
1. 「採用の失敗」は教育では決してカバーできない
これは最も譲れない原則です。
多くの企業は、採用後の手厚い教育や研修に多大なコストをかけます。
しかし、ワタシは言いたい。
採用とは、モデルの「初期パラメータ(資質・才能)」の選定そのものです。
初期パラメータが悪ければ、
どれほど大量の学習データ(教育・研修)を流し込んでも、
せいぜい局所最適解(Local Minimum)に留まるに過ぎません。
採用のミスは、その後の教育コストをすべて浪費する、
致命的なコスト要因なのです。
2. 30歳を過ぎたら「成長」ではなく「進化」を問え
ワタシはキャリアシートを見て、「成長」と「進化」を峻別します。
- 成長: 既存のモデル構造内での最適化。
既存スキルをより深く、より速くすること。これは30歳までで十分です。
ひとことで言うと、質より量です。 - 進化: モデル構造自体の刷新(アーキテクチャの変更)。
自己否定を伴い、異なる環境や課題に適応するために根本から自身を変えること。
30歳を過ぎてもキャリアを飛躍させる人材は、
必ずこの「進化」の履歴を持っています。
ワタシが採用で本当に見たいのは、この「進化のポテンシャル」です。
カフェ店員が医療事務を経て、DX人材になるとかね
3. HRtechはデータに向き合い、「人の本質」を無視している
データサイエンティスト(DS)やHRtech企業は、
華麗な新ワザや予測モデルを誇ります。
キラキラ系でタレントアナリティクスが、どうのとか言ってきます
しかし、現場の実務家としてのワタシの評価は厳しいものです。
「どこで使うねん?」
彼らのモデルは、
往々にして「短期データ」に過学習(Overfitting)した「過度に複雑な新ワザ」でしかありません。
これは、実務環境という名の複雑なテストデータで機能しません。
あとは法律によりかかった、無関心な性善説だと思っています。
要するに見つけるべき悪い人はウソ書くでしょということです。
HRtechは、データに向き合いすぎるあまり、人の本質に向き合っていない。
彼らのモデルは、組織のモラルを低下させる「テイカー(クレクレ族)」や、
一生懸命な人の足を引っ張る「労働力に貢献しない者」を
見つけ出すことはできません。
なぜなら、彼らはその因子をデータとしてラベリングする手間を怠っているからです。
4. モラルと社会性を定量化する「たまちゃん式指標」
ワタシの長年の勘と経験に基づき、
人のモラルと社会性を測るための概念モデルを提示します。
これは、組織の摩擦に対する適応度(M)と、人間性の欠損リスク(S)を定量化する試みです。
MS≒T/J×(ΣE+L)
| 変数名 | 意味合い | 私の解釈(核心) |
|---|---|---|
| T(最大勤続年数) | 信頼の指標 | 続けるという経営者への一番の安心材料。 |
| J(転職回数≒欠陥強調) | 人間性欠損リスク | 転職回数が多いことは、 少なからず人間性がどこか欠けていると断定してよい。 |
| ΣE (全社の従業員数合計) | 組織ノイズの総和 | 組織が大きいほど「仕組みがあるのが当たり前」となり、 テイカーが生まれる温床となる。 |
| L (階層の深さ) | 権威主義リスク | 組織が大きいと管理職の人間性が下がる傾向にあり、 モラルに負の重みを与える。 |
5. 採用担当の「節穴」と、残された課題
この「勘」にも限界があります。
最大の「節穴」は、
ワタシ自身の「いい人を採用したいというポジティブ・バイアス」です。
このバイアスが、
悪意ある「隠密(テイカー)」や、ビジネスの本質に貢献しない「休むことが是の人」を見抜けなくさせます。
ワタシたちは、単に技術的な再現性ではなく、
実務の再現性と組織のモラルに貢献するモデルを必要としています。
HRtech企業、そしてデータサイエンティストの皆さんへ。
みなさんの説明可能性(XAI)の力で、
ワタシのこの「ポジティブ・バイアス」を中和し、
「テイカー因子」を検知する、
シンプルで再現性の高い指標を共に設計してくれませんでしょうか
技術の自己満足ではなく、
ビジネスにおける初期パラメータ選定という最も重要な課題に貢献する時です。
※注意※この記事は、採用担当者の経験と洞察に基づくものであり、
特定の個人や企業を批判するものではありません。
